あたたかな支援に感謝して

横須賀市立横須賀総合高校

教諭 但

 

大学や専門学校を金銭的な理由から子供に断念させなければならない保護者の心痛、夢の実現の一歩も踏み出せない生徒の嘆き、奨学金の担当者となってから、辛い相談を受けることがしばしばありました。特に保健・医療及び福祉の仕事は、専門の知識と技術を学んで資格をとらない限り、仕事に就くことができません。そのような中、進路実現の一歩を安心して踏み出せるように援助してくださる貴会には、常々感謝いたしておりました。今年で創立10周年、入学金助成者が70名に達したと伺い、驚くと同時に感銘いたしました。「特定非営利活動法人フミヱ記念援助会」の保健・医療及び福祉への思いの強さに感謝いたします。

 

横須賀市立横須賀総合高等学校でも、2名の生徒がお世話になりました。奨学金の担当していた私と貴会との関りは、平成23年からです。この年は東日本大震災が起った年であり、助成者を決める面接は震災の翌日でした。面接を受ける生徒は、この影響を心配し不安に思っていたようです。そのような受験者の各家庭へ敢えて連絡してくださったこと、また、結果の文書に面接の様子を細かに書き添えてくださったこと、あの時の貴会のお心遣いをありがたく感じました。

 

平成23年に助成していただいた生徒は、理学療法士を目指しています。現在大学4年生となり、勉強と就職活動の準備で頑張っています。将来の夢は、地域の高齢者や障害者のリハビリを行うこと。しかし、専門的な知識や技術を身につけ考え方を広げるために、先ず病院に勤めたいと考えているそうです。苦手な科目も一生懸命勉強して、時には睡眠時間が2時間、土曜、日曜もレポ-トを書くために大学へ通うというハ-ドなスケジュ-ルも、貴会に認められ、期待されているということを意識し、頑張っていたそうです。今、医療機関で実習中ですが、大学での学びを振り返って、「理学療法士は、患者さんの将来を自分の力量で左右させる職業であると感じました。いつまでも勉強し続けている理学療法の先生方の姿が印象的です。患者さんの為に何ができるかを毎日考えています。」と答えてくれました。

また、保護者の方からは、「看護師を目指す奨学金の話は、聞いたことがあったのですが、理学・作業療法士を目指す人への奨学金はなかなか見つかりませんでした。教科書一冊で一万円以上のものがあります。援助金はとても助かりました。東日本大震災で大変な中、理事長を初め、面接してくださった先生方に感謝しています。」というお言葉をいただき、貴会に推薦して良かったと今更ながら感じます。

 

平成24年助成していただいた生徒は、看護師を目指して頑張っています。高校時代は3年間吹奏楽部に所属しておりました。助成金決定通知後、理事長を感謝の気持ちを込めて定期演奏会へご招待いたしました。高校時代の最後の演奏会に理事長が来てくださったことを、とても喜んでいたことが思い出されます。

保護者は、面接でお世話になったこと、演奏会まで心をとめて足を運んでくださったことを、とても感謝しておりました。そして、「娘はフミヱ記念援助会に認めていただいて、恥じないようにと、かなりきつい勉強も、感謝して励んでいます。」という言葉からは、経済面だけでなく、この援助金が夢実現の心のエネルギーとなっていることが感じられました。

今、彼女は大学3年生。貴会からの報告書を読ませていただくと、技術や知識だけでなく、精神面も順調に看護師に近づいていることを感じます。実習を通して自分の未熟さに気付く謙虚さ、その未熟さを改善しようとする頑張り、何をどうしたらよいのか模索しながら成長していく様子がうかがえます。

「患者さんの一番近くにいることができる看護師だからこそできること」を考え、「患者さんの言葉にならない声や、言葉に隠された真意を的確に捉えてこそ、良い看護を提供できる」と記す彼女の言葉は頼もしい限りです。

 

貴会にお世話になりました本校の卒業生二人は、患者や高齢者に寄り添い、相手の痛みを理解しようとする医療人として育ちつつあります。このような若者が70名もいると考えると嬉しくなり、貴会の助成事業に頭が下がる思いがいたします。貴会の入学助成事業は、大学入学時に後押しをしていただいただけではなく、助成者の心の支えになっていることを強く感じています。

「助成者として期待されたこと、認められたこと、声をかけていただいたこと、それが励みで頑張れる。」という卒業生に代って、感謝申し上げます。

そして、貴会の事業が今後も保健、医療、福祉を目指す若者の励ましとなり、一層発展されることを心から祈念申し上げます。